〈羊は安らかに草を食み〜被爆ピアノとダンスが織りなす未来〜〉 終演しました

演奏後記
大阪音楽大学ミュージックコミュニケーション専攻学生企画
〈羊は安らかに草を食み〜被爆ピアノとダンスが織りなす未来〜〉
終演しました。

ダンスの北村成美さんと、グランドピアノと被爆ピアノと。
素晴らしい照明プログラムと、豊中文芸センター小ホールならではの演出と。
なんだか不思議な時間軸のなかで、とても豊かな時間を過ごしました。
全く異なるキャラクターを持つ2つのピアノを弾くおもしろさも、とても稀有な体験となりました。
ご来場いただきましたみなさま、関係者のみなさま、
ありがとうございました!!

「平和学習」からスタートしたこの企画。
…私自身の勝手なことを言うと、平和学習は非常に大切なことである意識とは裏腹に、幼い頃から土地柄によって一斉に平和教育を受ける(受けざるを得ない)ことが、不意に訪れる驚きやショックだったこと、被害者であるという意識となること、それらが無意識にどこか自分の中に積み重なっていたことに気づかされました。
確か小学生の頃、平和学習を受けたあとの数日間、平和になるには / 基地があるということは…などについてどうしたらいいかと考え込み、ついには、しんどい!と、明らかに考えることをやめた時があったことを思い出しました。
そんな未熟で大変にわがままな中、今回、少しの身構えと共に企画から立ち合わせていただきましたが、自分の故郷ではない場所で考えなどを整理しつつ、いろんな方といろんな想いを共有しながら、プログラムやいろいろをつくっていく過程はとてもやわらかでおもしろい経験でした。
本番では、事前に予定していなかった動きをしてしまったり、凄まじいエネルギーを纏う北村成美さんとのさまざまな重なりから、緊張感はありつつも、生活の延長線上にこの舞台を過ごしているような不思議な感覚でした。あの時の、小学生の自分と繋がったような気持ちにもなりました。
2つの異なるピアノを弾きわける難しさ、おもしろさもありました。特に被爆ピアノで演奏する曲については、楽器との距離感にはじまり、タッチや音楽的解釈をも角度を変える必要がありましたが、それも含めてとても貴重な体験になりました。
戦争や平和、被爆。それだけではない普遍的な作品になったのではないかなという感覚と、そのような場を大阪音大の学生さんたちと関係者のみなさんと、客席の方々と、それぞれの熱量をもちよってつくれたことの感動がありました。
ピアニストとして、うちなーんちゅとして、日本に生きるひとりの人間として、今後も忘れることのない恵みのステージでした。感謝。

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